中学生レベルの問題をスラスラ解答。実は彼、生まれつき特定の分野で優れた才能を持ち、英語で「授かった人」を意味する「ギフテッド(Gifted)」と呼ばれる子どもなのだ。
一番好き・得意なのは数学 両親へ出題も
中村けんたくん(仮名):5✕5=25、5✕5✕5=125、625、3125、15625、78125
母親:答え見ていい?正解
中村けんたくん(仮名):いぇい!
5の7乗をスラスラと計算。小学生離れしたけんたくんのIQ(知能指数)は、平均の100を大きく上回る141。家族で散歩をしていても…。
中村けんたくん(仮名):デデン!これはなんでしょうか?元素記号でお答えください。
母親:これは…酸化鉄?FeO
中村けんたくん(仮名):正解!
けんたくん、いきなり両親に出題。これが日常の姿だそうで、取材中のスタッフにも。
中村けんたくん(仮名):「強ち」、強(つよい)に“ち”ってなんて読む?
と、今度は漢字を出題。
ディレクター:いいの、正解言って?「強ち=あながち」。
中村けんたくん(仮名):正解!すごいね!
大人でもなかなか難しい知識を披露。中でも一番好きで得意なのが、数学だ。これはけんたくんが作った夏休みの自由研究。かわいいサンタのイラストの下には、細かい計算式が並ぶ。そのテーマは?
中村けんたくん(仮名):サンタがいると地球は滅亡してしまうと思います。
驚きの主張を披露した、けんたくん。なぜサンタがいると、地球が滅亡するのか?
中村けんたくん(仮名):なぜならサンタ、トナカイ、プレゼントには「質量」があるからです。
けんたくんの計算はこうだ。大量のプレゼントを積んだ120人のサンタが世界中を飛び回った場合、とてつもないエネルギーが生じ、衝撃波により地球が滅亡してしまうという。まさに大人顔負けの知識を持つけんたくんだが、いつからこうした能力が花開いたのか。
母親:(教えてないのに)勝手に出来るようになってるんで、本当にびっくりします。いつ?いつ?って。自分の興味あることを、楽しく遊ぶ感覚で学んでるんだと思います。幼稚園のときにはすでに漢字を覚え、小学校に入ると、両親が教えていないのに数学もできるようになっていったという。
しかし、その優れた能力を持つ一方で、「ギフテッド」であるがゆえの悩みを抱えていた。
■周囲になじめず不登校に“支援本”を執筆
母親:(2022年1月)1年生の3学期からです。「学校に行きたくない」「学校辞めたい、つらい」と言ってきました。
飛び抜けた能力がありながら、この半年は不登校が続いているという。その理由をけんたくんに聞いてみると…。
中村けんたくん(仮名):入学する前は、小学校はいろんなことを学べるとこって思ってたけど、いざ入ってみると簡単な内容を何回も繰り返してやってるし。僕がやってることがいま星5だとしたら、(学校の授業は)星1ぐらい。それに合わせるのが苦しい。
周囲となじめないことに両親は不安を感じ、けんたくんを病院にも連れて行った。そこで受けた知能検査で驚きの結果が。
母親:(先生に)「お子さんが学校生活苦しいのは、人口の上位2%の知能の持ち主だからです。だから学校が合わないのも、仕方のないことなのかもしれませんね」と言われました。
父親:そんな高いとは思わなかったですね。正直驚きました。
検査結果は、全人口の上位2%に入るIQ141。平均は100前後といわれている中、けんたくんは小学校で…。
母親:なるべく皆からはみ出ないように、隠れようとする場面が多かったみたいで。わざと1年生の頃に100点をとらないようにしてて。「勉強はできるだけじゃ、いじめの対象にもなるんだよ」みたいなことを言ってた。
こうした中、最近、けんたくんが“ある本”を書き始めたという。その内容は…。
「小2の自分が本を書いてみた。ギフテッドしえんかつどうブック。この本は、ギフテッドの生きづらさや困りごとを本にまとめたものです」
母親:自分の生き苦しさっていうのを、やっぱり知って欲しいのかなって。
そこに書かれたけんたくんの願いは…。
中村けんたくん(仮名):みんなに自分が受け入れられる、僕みたいな人を受け入れてほしい。受け入れられる人が側にいて欲しい。
両親は“誰一人取り残さない教育”を強く願う。
母親:本当に学びたいことを学べる環境だったりとか、好きなことを学べるような学校があったらいいなとは思います。
周囲と分かりあえないこと。こうした孤立を防ぎ能力を伸ばすため、海外では特別な教育プログラムを用意する国もある。一方、日本では、教育現場での支援がまだ進んでいないのが現状だ。
ディレクター:どんな学校だったら行ってみたい?
中村けんたくん(仮名):ギフテッドクラスとかあったらいいなって思う。
ディレクター:今の学校じゃ出来ない?
中村けんたくん(仮名):うん…要するに飛び級かな。
幼い子供が悩みを抱える現実に、文部科学省は来年度から「ギフテッド」の子どもたちへの支援に乗り出す。
勉強は飛び級にするとして精神的な部分、友達との関わりなどをどうやって成長させるかということも考えなければならないと思う。親御さんや取材記者に対してやっていたように難しい問題を出して相手の能力を試すようなコミュニケーションを一年生や二年生のお友達にもとっているとしたらやはり浮いてしまうかなと思うし、それを「勉強ができるといじめられる」と解釈するのも違う気がする。勉強するクラスと交流するクラスとに分けて通うのが現実的なのかなと思う。
小学校は勉強だけ学んでるわけではないと思う。生きていく上での人間関係の構築の仕方を学ぶ場でもあるはず。giftedの子達も、生きていて普通の知能の人の方が周りには多いわけだから、その中で上手く柔軟に暮らせる様に…と思います。
周りの一般人なんかに合わせる必要はない。バンバン優秀な人材として成長してもらって、バッシバシとカネを稼ぐなり、毎年何兆円もの税金を日本に納めるなり、何千人もの日本人の雇用を創出するなり、芸術に寄与するなり、学問の発展に貢献するなり、日本の役に立ったら宜しい。一般人100人よりも貴重ですよ。誰も言わないので私が言いますけど、一般人100人よりも貴重です。